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オフィスビルの原状回復でトラブル!テナントと揉めない対応・防止策
2019.05.24
賃貸物件の退去時に入居した際の状態に戻すことを原状回復といいます。原状回復の内容は多岐にわたっており、賃貸人と賃借人の解釈の違いが発生しやすいことから、退去時(契約解約時)のトラブルの原因となっています。原則的に賃借人の故意や過失による破損・損耗以外は、賃貸人(オーナー)が費用を負担する「住宅」の賃貸借とは違い、「オフィス・店舗」として貸借する場合は賃借人(テナント)に原状回復義務があり、費用を負担する契約となっているケースが一般的です。今回のコラムでは「オフィス・店舗」の原状回復に焦点を当てて、ビルオーナーの視点から原状回復におけるトラブルと回避策・対応策についてご説明していきたいと思います。
原状回復とは
●基本的な原状回復義務について
原状回復とは契約が解除された際に、契約締結前(入居時)の状態に戻すことを指します。通常、オフィスや店舗の賃貸物件は、退去時に原状回復義務が賃借人(テナント)に生じます。自然の損耗(経年劣化)かどうかに関わらず、天井・壁・壁紙・床のカーペット・電球などの原状回復費用は、全て賃借人負担になる契約が一般的です。入居時に設置した事務機・家具・冷蔵庫などを撤去する際の費用負担も発生します。
オフィスや店舗は賃貸住宅とは違い、借主が使いやすいように空間をデザイン・レイアウトします。場合によっては造作物を設置したり、部屋のイメージを大きく変える内装工事を行ったりします。テナント毎に使用方法が異なるため、修繕費用は一定ではなく高額になる可能性が高くなります。そのため原状回復費はテナントが負担するルールがディファクトスタンダード(事実上の標準)になっているようです。
原状回復で発生しやすいトラブル
原状回復費は賃貸契約締結時に預けている保証金(敷金)と相殺し、余れば返金されますが、不足があれば追加で請求が発生することもあります。費用を最小限に抑えたいテナントと、なるべく綺麗に原状回復を行いたいビルオーナーという立場の違いが、トラブルの発生する根本的な要因と考えられます。経験のあるビルオーナーが原状回復工事の施工業者を指定し、専門的な工事に知識のないテナントに請求するという現在の不動産業界の慣例にも問題点があります。このような構造は、知見のないテナントが原状回復の適正費用を把握することが難しくなり、負担する費用が不明確であるため不満を抱くことになります。テナントが施工業者を指定することもできますが、業者の選定・打合せ・工事日程の調整・価格交渉といった専門知識がないと対応が難しいケースがほとんどです。預けている保証金とほぼ同額の見積書が提出され、保証金がほとんどもどってこないといったトラブルも実際に多く発生しています。
また、退去時に保証金と相殺ができず、テナントに資金がない場合は、ビルオーナーが資金を捻出しなければならなりません。テナントが負担できる範囲の安い費用の原状回復工事では、資産価値の維持が難しく入居率も下がってしまうためです。
トラブルを起こさないためのポイント
原状回復に関するトラブルは、賃貸借契約の出口である満期時や途中解約時に発生します。ビルオーナーは、このような退去時に発生しやすい問題を、契約の入口である入居時の課題として認識しておく必要があります。原状回復費は入居当初には発生しないものの、いずれテナントが負担する費用のため、賃貸借契約時の重要な内容としてお知らせしておくべきです。テナントが修繕等を行う必要のある範囲や、原状回復費用の目安単価を明記した資料を契約書に添付し、ビルオーナー・テナントの双方が原状回復条件に合意し納得しておくことが望ましいといえます。修繕費用が発生する項目を具体的にしておくことで信頼関係を築いておくことが重要です。
原状回復工事のタイミング
オフィスの原状回復工事のタイミングは、契約期間中に行う場合が一般的です(契約内容によっては退去後に行う場合もあります。現在の賃貸借契約書の記載を確認しておきましょう)。時期により施工業者がつかまらないケースもありますので、普段からテナントとコミュニケーションを図り、事前に退去の情報を把握できるように心がけましょう。部屋の改修工期が決まらないと次のテナントを募集するための活動が難しくなります。募集が遅くなれば、その分だけ賃料収入が減り収支バランスが悪くなりますので注意が必要です。
原状回復工事のポイント
基本的にテナントが変わるごとに工事は行いますが、定期的なメンテナンスだけを続けていると、老朽化が進むにつれて市場の競争力を失っていきます。タイミングを見てリノベーションを行うことも重要です。単純に費用を安く抑えるという観点ではなく、テナントが快適に活動できる空間づくりや、経年劣化が目立ちにくくテナント退去時に原状回復しやすい素材を採用するといったことを考えて行いましょう。
百年建築の原状回復工事
そこでご紹介したいのが「百年建築の原状回復工事」です。テナントとの賃貸借契約時に原状回復工事費用の明細を提出し、工事費用を合意しておいくことでトラブルを未然に防止しています。また築30~50年以上の築古ビルをリノベーションしている知見を活かし、物件の価値を高める原状回復工事を提案します。間取りが自由に行えるフリープランのレイアウトや、二重サッシ窓・遮熱カーテン・LED照明による省エネ対策、漆喰・無垢材といった自然由来の素材を使った健康住宅仕様で、テナントの入居率を維持します。テナント退去時の原状回復費を抑えるために、木・石・鉄・漆喰といった経年劣化が目立ちにくい素材を積極的に採用しています。部分補修しやすく、かつ全面改修に置いても費用を抑えられる「百年建築」リノベーションを行うことで資産価値を維持することができます。
事前にテナントが負担しておく費用を明確にしておくことで、テナントの安心度を高めます。また経年劣化が目立ちにくく改修費用を抑える仕様を採用していることで、修繕費用軽減と入居率維持の2つの効果があり、ビルオーナーとテナント双方の満足度を高めます。また室内の標準仕様を決めておけば、施工業者との打合せ期間や工期を短縮することにつながり、部屋をより早く再商品化し空室率を抑えることができます。長期間のビル経営の視点に立った費用対効果も計測しお伝えしています。
健全なビル経営を目指す
原状回復に関するトラブルでビルオーナーとテナントの双方の主張に折り合いがつかず、弁護士に相談するようなことになれば、費用も時間も取られてしまいます。契約時にきちんと説明をして、テナントの安心度を高め適切な関係を構築できるように心がけましょう。原状回復工事の概算金額を賃貸借契約時に提示し、適切な保証金を預かることで退去時のトラブルを未然に防ぎます。トラブル回避のために今回のコラムをお役立て頂ければ幸いです。