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サブリース契約とは?メリット、デメリットからリスクの抑え方まで

2019.02.20

サブリース契約とは?メリット、デメリットからリスクの抑え方まで

不動産経営には入居者募集・賃貸借契約・クレーム対応などのさまざまな業務が発生するため整った管理体制が必要です。資産活用や投資目的で建物経営にチャレンジする際や、建物の管理・維持などを行っていくときに相談に乗ってくれる専門知識のある人が近くにいると安心ですよね。このようなニーズに応えるために、長期間の建物経営を管理代行をしてくれる「サブリース」という仕組みがあり、専門的な知識や経験がなくても比較的簡単に建物経営を行うことができる方法です。なんとなく言葉は知っているけれど詳しい内容や契約についてご存知でない方もいらっしゃると思います。今回はサブリースの仕組みとそのメリットやデメリットについてポイントを押さえてお伝えしていきます。大切な資産を守り健全な建物運営を行うための参考にしてください。

サブリースの基礎知識

サブリース契約とはサブリース会社が物件オーナーより賃貸物件を一括借り上げして入居者に転貸することをいいます。新築物件の建設から管理までを行う方法や、資産運用目的のマンション販売などの提案型サブリース方式が一般的で、皆さんもオーナー募集のCMを良く見かけるかと思います。オーナーは直接入居者とは契約せずに、サブリース会社が貸主となり入居者より家賃を受け取ります。オーナーとサブリース会社が結ぶ契約をマスターリース契約、またサブリース会社と入居者が結ぶ契約をサブリース契約と言います。わかりやすくいうと「又貸し」をして差額を利益とするイメージですね。空室の有無に関わらず保証賃料をビルオーナーへ支払いますので、賃貸物件の管理業務経験のないオーナーや他にお仕事を抱えているオーナーでもビル経営を比較的簡単に行えます。一般的に更新料はサブリース会社が取得することが多くサブリース会社の売上となります。マスターリース契約は一定期間後に契約を更新するか協議します。

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サブリースのメリット

●家賃保証
最大のメリットは一定期間の家賃が保証されていることです。ビルオーナーはマスターリース契約期間中の収入が保証され、建物の管理業務から解放されます。家賃保証されているため、家賃滞納や空室が発生した際も一定の賃料を計画的に受け取ることができ安定した収入となります。賃料収入を得られず支出ばかりが増えてしまうという不動産投資のリスクを回避します。例えばビルオーナーが所有している建物が1~2棟の場合、テナント数が少ないため空室が1つでも出ると収支の変動が大きく、資金繰りに苦労することになります。サブリースでは空室率に関わらず定額の収入が保証されますので、計画的に資金繰りができ安心です。サブリース会社は多少の空室が出ても多数の貸室を管理していますので、小さな変動の中で収入を確保しています。規模メリットによる管理経費の節減で維持費が安くなるのも魅力の一つです。空室率を心配することがなく入居者募集の広告料を負担する必要もありません。

 

●煩わしい業務からの解放
入居者の募集・賃貸借契約の手続き・入居者からのクレーム対応など、入居者との直接的な対応はサブリース会社が行うため、ビルオーナーは煩わしい管理業務から解放されることになります。不動産会社に任せている方も多いかと思いますが、サブリース契約の場合ノウハウを持った専門スタッフがビルオーナーに代わり業務を行ってくれます。家賃の請求・集金・催促といった少し気が引ける業務も対処法を心得ているサブリース会社が対応します。改修工事や大規模修繕工事といったビルオーナーが負担する費用以外については基本的にはサブリース会社へ支払う手数料に集約されますので経理作業が楽になり手間がかかりません。

 

●物件の価値が落ちにくい
サブリースをせずに地元の不動産屋へ管理委託をしている場合、不動産屋にとっては仲介手数料や契約更新料が売上の中心となるため、入居者が長期に渡って契約をし続けてくれることには関心が低く、ビルの維持・管理にはあまり熱心ではないケースが多く見受けられます。これに比べてサブリース会社は空室が発生するとサブリース会社としての売上が確保されなくなってしまうため、ビルの維持・管理や物件の魅力を高める提案には真剣でビルの資産価値が落ちにくいという傾向が見られます。

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サブリースのデメリット

●自分で管理するより収入が減少する
建物を自主管理をする場合は、契約締結時の礼金および更新時の更新料、定期的に発生する賃貸料・管理料が全て売上となりますが、サブリース管理会社へ委託をすると、当然ながら管理会社へ支払う費用が発生し、同じ賃料であれば自主管理に比べて売上が落ちることになります。サブリース会社は受託する建物の資産価値や経年変化を見極め、サブリース物件の空室リスクを見ながら、契約家賃を周辺の地域性にあわせて設定しています。そのためオーナーが予想していたよりも契約家賃が低くなることがあり、結果収益が減少してしまいます。また入居者が支払う更新料のような比較的まとまった売上も賃貸借契約を結んでいるサブリース会社が受け取ることになり、ビルオーナーの収益性が落ちます。

 

●経営方針がマッチしないことによるトラブル
サブリース会社によってはビルオーナーを対等なパートナーと見なさず、自己都合でサブリース契約をすすめるケースがあります。ビルオーナーの意向を無視しモラルの低い人を入居させ、家賃滞納や近隣住民からのクレームに発生したり、民間宿泊施設として利用させてしまうケースなど、サブリース契約の募集条件の記載を破ってしまう事例が少なからず発生しているようです。サブリース会社とは長い付き合いになるため慎重に見極めてから契約を締結することが大切です。

 

●長期に渡る契約期間のリスク
新築提案型のサブリースの場合、契約期間が30年間と長期間にわたっており、途中解除にはローンや建築協力金を返済する必要があります。新築提案型のサブリース契約における建築に係る融資は、かなり大きな負債額になりますので建物経営のリスクは高くなります。

 

家賃保証金額・管理費は通常2年~3年程度で定期的に条件の見直しが行われますので、最初に契約した金額がずっと保証されるわけではありませんので注意してください。家賃保証の条件見直しに合意ができず利益が発生しない状態が続くと大きな負債を抱えてしまうことになります。融資を受けている場合は返済が滞ってしまう危険性もあります。サブリース契約時に提示される返済計画は収支が破綻しないように、賃貸が地域の相場に合わない金額で設定し作成されている場合がありますので、契約前にしっかりとチェックしておくことが大切です。

 

●サブリース会社が倒産するリスク
サブリース会社が倒産すると入居者とサブリース会社が結んだ契約はオーナー側へ引き継がれるのが一般的ですが、すでに入居者がサブリース会社に支払済の賃料は回収できない可能性があり、その場合負債が発生します。契約する会社の与信情報はしっかりとチェックしておきましょう。

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サブリース会社と契約する際の注意点

契約は締結した後に内容変更や契約解除することは一般的に難しいため、事前に契約内容や契約の条項を十分に吟味し、不明瞭な部分は事前に確認をして説明をしてもらいましょう。最近、悪質な業者によるサブリース契約のトラブルが社会問題にもなっており、注意喚起のために国土交通省と消費者庁が連携して注意点を公表していますので、こちらもあわせて参考にすると良いでしょう。不利な内容で契約をしないように注意してください。

 

●建設費用の妥当性
不動産の新築とサブリースがセットになっている場合は、建築費用が適当なのか確認をする必要があります。建築費に空室リスクの費用を上乗せされている場合が多いためです。不動産の建設費はオーナーが負担する費用としては大きな金額ですから、相場がわからない場合は相見積をとって金額の正当性を確認しておいたほうがよいでしょう。

 

●家賃保証の内容
一般的に築年数が経てば家賃は下がりますので、契約書には家賃見直しの時期の記載があります。見直し時期は2年~3年後というケースが多く、概ねサブリース会社より賃料減額の交渉がくると考えて間違いはないと思います。資金計画のため銀行からローンを借りる場合は家賃が下がることを前提に計画するようにしましょう。また契約上、物件の募集期間の数か月は家賃の免責期間になっていて、サブリース会社からの家賃保証が付いていないこともありますので注意してください。

 

●原状回復費用、大規模修繕費
サブリース契約では入居者が退去した後の原状回復費や大規模修繕費は物件オーナーの負担になることが一般的です。物件維持のためには不可欠な費用です。場合によっては金融機関からお金を借りるような資金計画が必要になってくる可能性もある重要事項と言えます。事前にどれぐらい出費が発生するか確認しておくと良いでしょう。

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百年建築のサブリース

セイコーステラが行っている「百年建築のサブリース」は従来のサブリース契約とは大きく異なります。新しい建物を建てることはなく、築20年~30年以上の築古ビルを対象にしています。

 

1.適切な改修工事を行い家賃を保つ
適切な改修工事をビルオーナーへご提案して入居者にとって魅力的な物件に更新します。それにより築年数が経つにつれて落ちていく家賃を一定に保つことができ、ビルオーナーの不利益が発生しにくいサブリース契約です。10万円以下の修繕費はセイコーステラで負担しますので、ビルオーナーを煩わせずにスピーデイにテナントの対応をすることができます。オーナーの大きな負担となる原状回復費や大規模修繕費などを予め明示し、いつ頃どれぐらいの資金が必要なのか将来を見据えた企画立案を行いますので、ビルオーナーは前もって資金の準備をすることができます。

 

2.安易な賃料設定をしない
賃料を安易に低く設定することなく、周辺相場賃料を調べてご提案いたします。周辺類似建物の家賃を客観的データに基づき調査し相場家賃を設定します。

 

3.四角四面にならない契約内容をご提案
新築工事とセットのサブリース契約は百年建築構想とは異なるため想定していません。築30年~40年の築古ビルのサブリースを中心に取り扱っています。契約期間は通常4~6年でより高い賃料目指してこれを実現できれば、次の更新契約時にビルオーナーへ利益を還元しています。比較的短期間で契約更新をすることにより、契約時の内容と現状との乖離部分を洗い出し条件を見直すようにします。それでも内容にご納得いただけない場合は、その時点の解約も可能で違約金も発生いたしません。大手企業のサブリース契約書はフォーマットが用意されており条件交渉の余地がないことが多いですが、築年数の経った築古ビルはそれぞれの状況が異なるため契約毎に条項を見直すことが少なくありません。

新しいサブリースの形

サブリースと一言で表しても様々な契約により内容が大きく異なります。サブリース業者との契約時には十分に内容を吟味して比較検討することをお勧めいたします。その中で「百年建築」サブリース事業にご興味を持っていただけたら幸いです。